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糖尿病 口の病気も重症化 |
県外のある歯科大学病院での出来事です。ここには、難しい症状を抱える多くの患者さんが遠くからも通院しています。
午後の診療時間が始まる少し前、昼食を終えたA先生が外来に向かうと、1時に予約しているB子さんが待合室のいすに座っていました。受け付けの担当者に聞くと、B子さんはお昼前には来院していたといいます。A先生は早速、診察の準備をし、B子さんを診察室に迎え入れようとしました。
「○○さーん、どうぞ」
「はーい」
立ち上がったB子さんは2、3歩進んだかと思うと、「あら…なんか目の前が真っ暗…」。ふらふらと壁にもたれかかるようにして崩れ落ちてしまいました。
「B子さーん! どうしましたか? B子さーん?」
B子さんはぶるぶると震えながら、A先生の呼びかけにも全く応じる気配がありません。A先生はすぐに応援を呼び、駆け付けた救急医(歯科麻酔医)に抱えられるようにしてB子さんは回復室に運び込まれました。当然、治療は中止です。
実はB子さんは糖尿病を患っており、血糖値を下げるために毎日インスリンを注射していました。その日もいつも通りインスリンを注射したのですが、午後1時に診療予約を入れていたこともあり、ついついお昼ご飯を抜いてしまったそうです。
そのためにインスリンが効き過ぎてしまい、低血糖発作を起こしてしまったのでした。幸い、発作が比較的軽かったことと、駆け付けた救急医らの対応が素早かったこともあり、B子さんはまもなく回復し、事なきを得ました。とはいえ、一歩間違えば命にかかわっていたかもしれません。
厚生労働省の「2007年国民健康・栄養調査」によると、糖尿病が強く疑われる人は全国に約890万人、予備軍を含めると2200万人以上もいるといわれます。糖尿病になると、感染を起こしやすくなったり、傷が治りにくくなったりするため、むし歯や歯周病も重症化・難治化しやすい傾向があります。
歯科医も糖尿病の主治医と連携して歯科治療を行うことがありますので、歯科を受診する際にはそのときの病状をきちんと歯科医に伝えた上で、治療内容や時間などをご相談ください。服薬や食事の際には自分で判断するのではなく、糖尿病の主治医らからの指示をしっかり守るようにしましょう。
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